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今感じておられる問題について教えて下さい
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「ほんまにお客さんのホテル利用が落ちてきているんです」と宮城は言う。尼崎には大手企業の拠点がいくつかあり、それを支える産業にまつわるビジネス出張が多く見込めてきた。ただこのこうした宿泊需要は年々減少の傾向にあり、出張ニーズそのものも減っていっているとの事。加えて、もともと観光資源に乏しいこのエリアは「工業地帯」と言うイメージが強く、ビジネス以外の宿泊需要を見出すのは難しい。
「短期の課題は下がるのをどのように食い止めるかなのですが、これまでと違う、他の御利用のあり方を拾い出してくるのが必要だと考えています。」と宮城は積極的な取組みを語ってくれた。
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2. |
なにか特徴をもたせると言うことでしょうか?
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「はっきり言って、今何を目指そうと言う明確な方針はまだ無いんです。だけど、ここまで支えて来たチームと、ここを伸ばして行こうと言うものはいくつか見えて来ています。」減って行く要素ではなくて、これまで未開拓だった部分をもっと伸ばす戦略だ。しかしそれを実行する為のチームには方針が必要だ。
「必要なのはみんなが同じ方向を向くための方針ですね。これからのサービスは観光目的のお客様も大事になるでしょうね。大阪に泊まってもこのエリアに泊まっても遜色ないものを作ってゆかねば、残っていけないでしょうね。」
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3. |
具体的に取組んでいることはありますか?
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手探りの状態が続く中、宮城はフロントスタッフにある方針を打ち出している。「これまで結果としてフロントから出ないサービスが効率の良いお客様対応と考える向きがありました。まずこれをやめてどんどんお客様との交流を進めたいと考えています。」まず、何もないと片付けてしまうのではなくて、ゲストとの接触からニーズを拾ってゆくのだと彼は語っている。自社カラーを明確にするためにも、このホテルだから泊まろうだとか、このサービスが受けられるから利用しようと言う理由が明確でなければならないのだ。
営業の接触点で、尼崎を紹介するとまず皆さんから「何があるの?」と言う質問から始まるそうだ。明快な提案が出来ない我々がはがゆいのだが、もう一度基本的なニーズを拾い出そうと考えているとの事。そして、プランのモニターと言う手段を通じて将来のニーズを探ってゆきたいと企画中だ。
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4. |
3段階目への変化が必要な時期にきているのではないかと思います。−
宮城
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昨年4月、西表島にある系列リゾートホテル「ラ・ティーダ」から戻り、ホテルスタッフが2段階目の変化を遂げている事に彼は気が付いたと言う。「それは主に仕事の進め方が変わってきてたのです。与えられた仕事から自分達で考えて実行する仕事になってきていたのです。」結果として、猛烈に仕事量が増えてスタッフ自ら仕事の進め方、チェックのあり方を編み出してきたそうだ。自分達自ら中身を充実させようとする目的を自分達で実現していったのだと変化を語る。
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1段目の変化はいつありましたか? |
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そんなチーム育成も追い風ばかりではなかったようだ。8年前にホテルの立ち上げに参加した頃、日々の業務がはっきりと確立していなくて、まだ不慣れな同僚を前に「プロ意識が足りないのじゃないか。」と言いつづけて、猛烈に周囲と衝突し、孤立した時期がある。「第一段目の変化は、ある時チームが自立したと言える時期でもあるんですが、与えられた仕事だけじゃなくて、より効率良く有効にと言う自発的な取組みが個々に目立つようになってきた時があるんです。この時は嬉しかったですね。本当に本音を言いつづけて良かったなと思った時期でもありました。」
その時目に入ってきたものは、スタッフ間の力量差であったと言う。やる気と取組みの差が歴然と仕事力の差となってあらわれてきたそうだ。「明らかに違いが明確になってきました。今も残っている彼らの間に、何かを自発的にやらなければ気が収まらないと言う気運が自然と育ってきたのです。」これはお客様をはじめ、周囲から教えていただけたものと、当時からのリーダーである宇治原支配人の指導方法も魅力的だと言う。 |