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ワザ研 − リーダー達のワザ研究 −

奮闘するリーダー達には元気がぎっしり。"ワザ研"では裏を取材して、
皆さんの「快適」と「スムーズを支えるリーダー達の物語を取り上げてゆきます。
グリーンヒルホテル神戸 平木料飲課マネージャー
▼ワザ研調査報告 第5回
「宴会職人の人生感は楽しくってしょうがない!!」
グリーンヒルホテル神戸
料飲課マネージャー 平木 利明
取材:窪一(ホットワイヤー・プロジェクトリーダー)

北野にあるグリーンヒルホテル神戸。神戸のホテルが苦戦するなか、バンケットが成果をあげてきている。しかも、ブライダル、ケータリング(出張宴会)とこれまでどちらかと言えば活かし切れていなかった既存サービスが元気なのだ。困っていない。
*走りだしたグリーンヒルのバンケットチーム

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 「飛び出した先から、不思議な縁ですねん」平木さんは面白そうに面接からこれまでの経緯について語る。2002年11月採用後に現場を訪ねて、チャペルや宴会場、キッチンを見て、ここでやりたいイメージが見通せて、腹をくくったそうだ。「3ヶ月の試用期間を設けて欲しい」と面接を受けた浅野常務に申し出てから、半年後のゴールデンウィークには「プチ・ブライダルフェア」を実現している。「廻りの人を動かして行けたのがラッキーでした」と当時を思い返すが、フロント、ブライダル・カウンター、シェフともに彼の事をにこやかに「平木さん」と呼ぶ。

 「幅広くやってきました」と言うその経歴は本当におもしろい。ホテルにはじまり、レストラン、宴会、バー・カウンター、大食堂、ビアーガーデン、喫茶店、模擬店、屋台、お菓子屋さん、シュークリーム専門店、イタリアン・カフェ。決していろんな職場を廻ることは悪いことでは無い。しかし、彼の中で何が目標だったのだろうか聞いた。

 「いつかは自分の店と言うのは無かったですね、ただ料理がものすごく好きなんです」本当はコックになりたかったそうだ、ゆえに自分でも自宅にプロの調理器具を揃えて作ってみる。親族の集まりでも「予算は?」と関係なくサービスをやってしまう。これは後でわかるのだが理由がある。

 「好きだから、どうしても料理を見るやないですか。コックさんに聞くんです。自分で盛り付けてみたり、創ってみたりする。するとゲストに食べて貰おうって言う−作り手の意図が見えてくるんですよ」平木さんはスタッフの個性と持ち味も巧みにまとめている。「料理を味わうゲストの満足度を良くも悪くも全身で感じる。それが出来るのは僕らだからこそなんです」

 彼のサービスには芯がある。キッチンから出た料理が狙いどおりにきちんとゲストに届かないと価値は伝わらない。サービスが連携するマネージメントがしっかりして、はじめてチームの取組みが価値を結んでゆく。

 

*物語一杯!!ウェイター稼業修行時代
 平木さんは一緒に働く人との時間をとても大事にしている。それは、その場にいる時しか吸収できない事があるからだ。「中華得意な人、フレンチが得意な人、いろんな修行をしてきてはる。そんな人から何か得られるものがあるから、その人と一緒にいる時にしか学べない。それが出来ないと自分の世界が広がらないんです。」

 ある時、若いお菓子の職人さんと一緒に仕事した。それまでお菓子の事ぜんぜん知らなかった。だけど、ゲストの前で切り分けたりすると、「切り口がきたない」彼から厳しい言葉が飛ぶ。初めて手作りのケーキを見せてもらった。接客のプロならば一から、知ってて当たり前、いや知ってなければ仕事にならなかった。

 教えてもらおうとアプローチしても、素人だからと相手にしてもらえない。ここで平木さんは諦めない。ならば自分で創ってみたらとつくり方を彼にたずねたそうだ。「スポンジを焼きたいけど、どうしたらいいの?」と聞く平木さんに「100回焼いてみたら」と職人はそっけなかった。とにかく、自分で道具買って、本買って自己流で焼いた。するとスポンジは団子になってしまった。頭さげて「団子になったんです」と見せた。そしたら「たぶん合わせ方か、メレンゲの立てかたに問題があるんじゃないか」次のは焼きあがったけど、へこんだ。「多分、火入れの時間が短かったんとちゃうか、それか焼き上げの見極めが悪かったんとちゃうか」と繰り返してゆくにつれて、詳しい事を教えてくれるようになる。いつしか知識とともに信頼関係も生まれてくる。

image 「ある時ね、スフレチーズケーキ焼きあがって、あら熱の取れた状態のもの、食べさせてもらえたんです。これは、作った人しか口に出来ない。ふわふわの状態。その後すぐ冷蔵庫に入れて締めますからね。これを誰かに食べさしてあげたいなと思ったんですわ。このへんが根っこかな」なにかにつけ「教えてくれ」と言う後輩に「100回やったら上手になるよ」と彼は言う。そしてじっと待つ。「その子がほんまにやりたい思たら、自分から本を買い、自分から作るんですよ。いくらレシピやマナーを教えてあげても、駄目ですわ」10人おったら一人ですねと平木さんは笑う。「僕ら幸せやったかもしれません。ごっつい先輩がおったんですわ。自然と尊敬できた」 いつか輝いたところに立ちたいなって思うなら、喜ばせる事が楽しめないと続けられない。

 

*平木さんのブライダル
image ある時、披露宴で自ら珍しいイタリアのワインを持ち込みたいと言うカップルがいた。本来、持込はルール違反。だけど平木さんは、それなら自分達でワインサービスまでをどうかと提案。平木さんは自分のソムリエナイフをプレゼントしてワインの扱い方を一週間みっちりレッスンすることにした。当日、コルクを折ることなく抜栓・サービスする新郎は、ハネムーンから戻り「忘れられない思い出です」とのメッセージをたずさえて訪ねてきてくれたそうだ。「こんなん僕らならではかなと思っています。」

 平木さんは、企画から立会う。教会式から披露宴、そして送迎にまでアテンドする。先発完投なのだ。ブライダルカウンター、コックとともに「中でやる事が人数制限あるなら、外に出たらええやん。そう思って企画も動いてますねん」朝6時の朝食150人分を段取りしてから、平木さんは僕とのインタビューをこなし、翌日から300人を超える出張ディナーの準備にかかっていった。にこにこしながら。

 平木さんとのインタビューは宴会場の隅っこで、グラスとナプキン、そしてタバコの煙とともに止め処なく続いた。僕の腕では彼がやってきた事をとてもまとめきれない。また、公開できないような「めまいモノ」の物語も聞かせてもらえた。かつて平木さんが焼きたてのスフレチーズケーキを口にしたように、僕はラッキーにも多くの物語を聞き手の立場で楽しませてもらった。彼と企画するバンケットは物語でいっぱいだ。


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