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ワザ研 − リーダー達のワザ研究 −

奮闘するリーダー達には元気がぎっしり。"ワザ研"では裏を取材して、
皆さんの「快適」と「スムーズを支えるリーダー達の物語を取り上げてゆきます。
グリーンヒルホテル尾道 鈴木崇史様
▼ワザ研調査報告 第7回
「ゲストの評価は恐いですよ!?  読み取る力にワザを見た!!」
グリーンヒルホテル尾道
営業課アシスタント・マネージャー 鈴木 崇史
取材:窪一(ホットワイヤー・プロジェクトリーダー)

 グリーンヒルホテル尾道は尾道水道に面したホテルだ。JR尾道駅からも歩いてほどなく、潮の香りにつつまれながら、ホテル2階のゲートをくぐるとガラス張りの海に面した景色と、海面をはねる光線に出迎えられる。尾道がはじめてで、この景色に触れたゲストは当然ながら尾道ブランドとこの借景を心に刻み込んでしまう。ホテルに足を踏み入れた体験が尾道の記憶になって残るのだ。働く人とゲストの心地良い関係から広がる空気が、これからの体験をわくわくするものにしてくれる。
 名刺交換もそこそこにインタビューは始まった。にこにこしながら、旧知の仲のように話が転がってゆく。「たぶん母ゆずりです」鈴木君は自分の人好き加減をそう説明してくれた。
 鈴木君はこのホテルに働き3年目、最初はレストランに配属されたそうだ。それもこれまで料飲で店長まで経験をしてきた彼の職務経歴を聞けば自然の流れに思える。しかし彼はこのホテルに来て自ら営業に出た。
 「地元で暮らした経験がありません。尾道をもっと知っておかなければいけないと感じたのです。またお客様の関係を自分から外に出て広げてみたかったのもあるのですけどね。」


*現場主義!!
 18歳のアルバイトから28才の今日まで、彼は原則としてホテルの料飲に入っている。「なんでも一番じゃないと気がすまない」アルバイトについてから数年で福山グランドホテルのレストラン店長になっている。「師匠にめぐまれました。ソムリエの小沢氏に教えて戴いたのですが、なにしろやってみろ!が口癖のような方で、本当に現場で鍛えてもらえたんです」  

  「この仕事が続く人をみると、みんな人が好きなんですよ。お客さまに良い事をして喜んでもらえるのを魅力と思える人種なんです。」彼は前職のレストランでチームをどのように引っ張るかを現場で体験している。その時に得たものは、自分にないものを他のメンバーに見出して、そうした能力を揃えてゆく事と「自分が人一倍働いているから、自信がもてるし、みんながついてくる」というリーダーシップの基本。これは彼の仕事術においてチームメイトが年上でも年下でも関係なく行動力の支えになっている。


*読み込むコミュニケーション
image 営業で外を廻り、夜は宴会にアテンドする。もちろん担当するブライダルが週末ならその披露宴にも何かしら理由をつけて参加する。
 「おいしいと思っておられるのだろうか?」お客様の本音は表面には出てこないことが多いから探るのは難しい。

 前職で「自分のサービスが一定の品質をクリアしているのだろうか」鈴木君は心配になった事があるそうだ。「ある時、関東から来たソムリエの方と働く機会に恵まれたんです。その方の仕事に触れて自信を持つ事が出来ました」。お客様がして欲しい事を口にした時はすでに遅い、準備ができていないから対応が遅れる。例えば「カップルで来られて、男性がシャンパンを注文したのだけど、女性はお酒が苦手だけど我慢してはいないか。そう思いながら接していると、ソフトドリンクをすぐお出しできる。用意出来ますよね。そうした力が必要なんです」それを汲み取る接し方は、それを喜びにできないと、わからない。
「自分で勉強しておかないと不安でしょ?例えば料理の素材知識やお客様の欲しいものを探り当てる目が鈍っていたとしたら。」だから現場に出続けていないとだめだと語る。
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▲仲のよいチームメイト達

*生み出すサービスが価値を持つ瞬間
 料理の世界に働くしきたりは和食も洋食も独特の文化が育まれている。それは時にとても厳しい。それゆえにお客様との触れあいを難しくしてしまう時もある。それはゲストの望むものをこちらが勝手に判断して押し付けてしまうような場合だ。  お客様が想い以上の体験をすればその対価は安く、どんなに素晴らしいサービスであったとしても、期待を外せばそれは高いものになる。「宴会のね、請求書を持ってゆく時にね、お客様の価値判断がわかるんです。」請求書を前に宴会の話が弾む、楽しかった記憶をお客様と共有できたとき、彼の担当した仕事は良かったと評価される。逆に「あの料理、今一つ美味しくなかったなぁ」とマイナスのコメントが出る場合もある。現場に出ていないと、そうした文脈を共有しておけないし、お客様の不満にあらかじめ備えられない。
 「仕事中、お客様のことがとにかく気になりますよね。料理で混雑していないかな?宴会場であのお客様は呑んでいるかな?と考え出すとじっとしていられませんね。」「具体的なお客様の喜ぶ姿をイメージしながら、接する。これがコツなんです。」鈴木君はコミュニケーションの難しさを肌で知っている。だから現場にアテンドする。

 全部自分で体験してそれぞれの分野で一番になっていたかった彼の想いは、こうした営業のスタイルで実現している。インタビューの後、撮影のため厨房をたずねた時に気が付いたのだが、料理長やフロアー・スタッフ、同居しているパティシェみんなが彼に声をかける。そして鈴木君はためらう事なく中に入ってゆく。こうしたフットワークこそ、料理方も彼を信頼している証しなのだろうなと感じた。


* * *


この取材日、ホテルのレストラン「ドゥ・メーム」に早めに入り、気兼ねせず一人で食事がしたかった。レストラン奥のこじんまりした窓際の二人席に座り、静かにランチを楽しむことができたつもりだったのだが、鈴木君は僕と会った事もないのにしっかりと僕をマークしていたそうだ。頼んだ料理もスタッフのサービスも、僕の望む孤独なランチタイムをしっかり読み取って護ってくれていたかのようだった。

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